このたび第63回日本音声言語医学会総会・学術講演会を開催させて頂くことになりました。本学会を久留米大学が担当させて頂くのは1979年に私の恩師である 平野 実 教授 が、第24回を主催されて以来のことです。また、久留米大学は2018年に創立90周年を迎えます。この記念すべき年に、本学会を開催できることは大変名誉なことと存じます。この貴重な機会を賜りました 大森孝一 理事長、湯本英二 前理事長をはじめ役員、会員の皆さまには心より感謝申し上げます。
昨今、人が人らしく生きることの重要性がより多く語られるようになり、高齢者においては健康長寿を目指す時代になりました。そのような時代背景を鑑みて、「QOL向上を目指して」をメインテーマに据えました。音声言語医学は医師・言語聴覚士・教育者・研究者など多職種の会員により、音声・発話・構音・聴覚・嚥下など、どれも人が人らしく生きる大切な機能の向上を目的とした学問です。基礎から臨床を含めた音声言語医学の幅広いテーマについて、10月の爽やかな季節に久留米の地で学んで頂ければ喜ばしい限りです。
第63回のプログラムでは二つのシンポジウムを企画致しました。「機能性発声障害の診断と治療-耳鼻咽喉科医と言語聴覚士の立場から-」と「Dysarthriaを総括する」についてご討論頂く予定です。パネルディスカッションも「軽度・中等度難聴児の診断と治療・療育の現状」と「声帯ポリープ・結節難治症例の治療戦略」の二つを企画致しました。ワークショップでは、「音声障害診療ガイドライン」についてガイドライン作成に携わられた委員の先生方にその構成を解説して頂く予定です。海外招聘講演は、喉頭科学のトップリーダーである米国Yale大学の Clarence T. Sasaki 教授に喉頭の生理に関する研究成果を中心にご講演いただく予定です。その他、ランチョンセミナー、教育セミナー、等を企画しています。また、学会終了後には「吃音」と「嚥下障害」に関する二つのポストコングレスセミナーも開催致します。本学会が会員の皆さまにとって、今後の臨床・研究・教育の新たな糧となるよう、教室員共々、準備に励む所存でございます。
遠方から久留米へのお越しは、利便性の高い九州新幹線を是非ご利用ください。JR博多駅からJR久留米駅まで、わずか17分の距離です。学会場の久留米シティプラザは平成28年に開館した新しい分化交流施設で、街の中心地にあります。久留米市は、筑後川が流れる自然豊かな筑後平野の中心に位置します。筑後平野は幾つもの酒蔵を有する酒所でもあります。近くには 北原白秋 の故郷であり、川下りや鰻のせいろ蒸しで有名な水郷柳川や、学問の神様である 菅原道真 公 を祀った太宰府天満宮があり、九州国立博物館も隣接しています。少し足を伸ばせば、湯布院や黒川温泉などでの温泉も楽しめます。学会の合間や、学会終了後にでもお立ち寄りいただき、秋の筑後路をご満喫いただければ幸甚に存じます。